「ちょっと、大丈夫なの、あの子?」 「ありゃ、進展あったのかね、リリー?」 「聞いてみるしかないな。」 「同感。」 Sweet Memories - Memory 5 - 食事時は、やはり彼らにとってミーティングとも言える絶好の時間なのか。 次の日の朝もリリーたちは、ぼーっとしているを大広間兼食堂で見つけては、例の話に花を咲かせていた。 「やっぱり、想像していた以上に手が早そうだわ!」 「同感。」 リリーがまるで推理小説の中の探偵のように、顎に手を当てて目を光らせると、リーマスが頷く。 「だって、出会った次の日にもうデートに誘ってるのよ?」 「こりゃあ、デートの時に何があってもおかしくないな。」 「やめてー!私の可愛いがっっっ!!」 ふざけて抱きつくリリーに、は苦笑いをする。ジェームズは黙々と一人、食事をとっていた。 「もう、ふざけないでよ。私真剣なんだから。」 眉間に皺を寄せながら、一同を睨む。でも、リリーがいつも通りに接してくれて、本当はすごく安堵していた。 「悪かったわ、。うん、でもよかったじゃない。週末は私たちとは別行動ね。」 「週末って言ったって、明後日じゃないか。もうすぐだね。」 「えっ?!明後日なの?!」 リリーとリーマスの言葉に思わず目を丸くして、息を飲む。 「駄目っ!まだ心構えが...」 「あ、マルフォイが出て行くぞ。」 「えっ?!どこっ!」 は食事も済ませていないのに、席からガタン、と立ち上がると、 ポケットに忍ばせておいた百味ビーンズ・ミント味を口に含んで、ルシウスのいる出口へと駆けていった。 「ヒュー、ほんと、あいつマジだぜ。」 「それより、週末の事だけど....」 今まで一人、黙っていたジェームズの眼鏡の奥の瞳がキラーンと光る。 「了解よ、ジェームズ!」 「もちろんだぜ!」 「同感!」 こういう時だけは、息が合うのだった。 そして、なんだかんだいって待ちに待った土曜日。 正にデート日和、という訳ではないが、天候に恵まれた日だった。 空は真っ青で突き抜けていて、風は気持ちよく村中を駆け巡る。 ホグワーツの生徒も大勢見かけるが、そのほかにもこの村独特の種族や、魔法使い、魔女で溢れていた。 「どこか寄りたい所はある?」 自分よりも少し背の高い、横を歩くルシウスを見上げながら、は頬を赤く染める。 (今日は私の最高の一日だわ、きっと。) キョロキョロ、と人ごみに紛れながら、は辺りを見回す。 「あ、何かすごくいい香りがする....」 「ハニーデュークス菓子店?」 「そう!そこに行きたい。」 が嬉しそうに微笑むと、ルシウスもフッと笑って彼女の手を引いた。 握られている手が、最初に触れた時は冷たかったのに、今はすごく、温く感じる。 なんだか、夢みたい。 「なーんだ、思ったよりいい感じだね。」 「あいつのあんな顔、はじめて見た。うえぇぇ。ぐえぇぇ。」 二人の後を尾行していた4つの影は、コソコソと店と店の間に隠れると、思い思いの言葉を口走る。 「あっ、ハニーデュークス菓子店に入った!」 「あいつめ、一体に何を買うつもりだ?」 「私のに何かあったら、許さないんだから!!」 「みんな、ここよりも"三本の箒"でバタービールでも飲んで、待ち伏せしないかい? 、バタービール好きだから、きっと行くと思うよ。」 リーマスの提案に一同頷くと、そそくさと四人はパブ・三本の箒へと移動した。 「わぁ、これ美味しそう。」 「好きなだけ選んだらいい。ああ、これもいいんじゃないかな?」 色とりどりの丸いビー玉のようにキラキラ輝く飴玉がたくさん詰まった瓶を、ルシウスがに手渡す。 彼女はきれい、とうっとりして眺めながらルシウスに一度微笑むと、他のお菓子を探しに、どんどん店の奥へと入っていった。 「..............。」 ルシウスは、店の入り口の扉に寄りかかったまま、そんなの後姿を見つめ、微かに眉をひそめた。 そして、店の外の人通りをチラッと見て、また彼女に視線を戻し、思考を廻らす。 (.....気のせいか.......?) 「ルシウス!!!!」 すると、突然嫌な声がしてルシウスが振り返ると、そこにはあのアーサーが、自分を睨んで立っていた。もちろんモリーも横にいる。 「やあ、アーサー・ウィーズリー。それに...モリーも。」 モリーは軽く手を振ると、笑いながら奥にいるを指差した。 「やっぱり。私マルフォイならあの子のこと、気に入ると思ってたわ。」 「それはそれは。どうしたんだい、君たちは。わざわざひやかしに来てくれたのか?よっぽど暇なようだね。」 そう言って嘲るようにアーサーを笑うと、彼も負けじと睨み返す。 「ああ。可愛そうだな、は。お前みたいな世間知らずのボンボンには、彼女は本当に勿体無い!」 「止しなさいよ、二人とも!あら、。」 ひらひら、と手を振るモリーに、が嬉しそうに駆け寄ってきてお辞儀をした。その腕にはたくさんのお菓子が抱かれている。 「二人ともいらしてたんですね。こんな所で会うなんて偶然!....あ、そうだ。一緒に"三本の箒"行きませんか?」 「「何?」」 声をハモらせて驚いたルシウスとアーサーを尻目に、モリーはお邪魔しちゃ悪いわ、と言いながらもを店の会計まで連れて行く。 「ほら、マルフォイ。早くお金払ってよ!」 ペースを崩され、と二人っきりの時間を邪魔されたルシウスは、隣にいたアーサーを一睨みすると、の元へ歩いた。 「おーい、モリー....。」 アーサーは額に手を当てると、はぁっと溜息をつくのだった。 お気に召しましたら(*^-^*)→ web拍手 back / home / next |