「先輩!マルフォイ先輩っ!」 食堂を出て、寮に向かう途中の廊下で後ろから呼び止められ 振り向くとそこには、が立っていた。 Sweet Memories - Memory 4 - 「君は.......」 「あ、あの、」 走ってきたは一回深呼吸すると、目を見開いて少し驚いているルシウスに白いハンカチを差し出した。 「ありがとうございました!あの時は...」 彼の顔を直視できなくて、は視線を彼の胸元辺りに落として、頬を赤く染めている。 通り過ぎる人の視線が少し気になったのか、ルシウスは一緒に歩いていたスリザリン生に先に行くように促し、通路の脇に移動した。 「返さなくていいと言ったはずだ。」 「ええ、そうなんですけど...大丈夫です。ちゃんと洗濯もしましたから。」 心臓が高鳴っているのが自分でも分かるくらい、は緊張していた。 「君にあげたんだ。」 「私は借りたんです。」 彼が差し出している腕からハンカチを受け取ってくれないと、どうしたらいいのか分からない。手が震えていた。 (ねぇ、早く受け取って!!!) 一向に手を引っ込めない、そんなを見兼ねてとうとうルシウスはハンカチを彼女の手から受け取った。 まだ視線を外したまま、ホッとしているの耳に、ルシウスの笑い声が聞こえてきた。 「面白いな。誰かにプレゼントして返されたのは、君が初めてだ。」 ふと、が視線を上げると、そこにはルシウスの楽しそうな笑顔。今まで見た事もない笑顔があった。 ま、こんなものじゃプレゼントにならないか、と言ってに微笑む彼に、思わず見とれてしまっていた。 「?」 ボーっとしていたは、やっと彼と目が合っていることを思い出し、また慌てて下を向く。 「いえっ、何でもないです!」 (あれ...今、って...) すると、また彼の笑い声が聞こえてくる。 「おい、顔を上げないと、私が壁に向かって話しているみたいじゃないか?」 「あっ、はい、すみません。」 ギクシャクしているは周りから見てもおかしかったが、正に美男美女の二人を見て、生徒たちはヒソヒソ何やら話しながら通り過ぎていく。 それに何より、ルシウスが嫌味以外で人と会話する事自体、校内の廊下では珍しい事で。 しょうがなく、意を決したようにが彼を見上げると、お互いの視線が真っ直ぐ絡み合って、外せなくなる。 (うっ、駄目!こんなんじゃ、心臓持たないよ。) 真っ赤になっているに、ルシウスは満足するといつものプライドの高そうな口調で言った。 「今度の週末は暇かな?」 「え、ええ。」 彼に見つめられて、何も考えられなくて。は何となく返事をしてしまっていた。 「じゃあ、ホグズミードへ行こうか。何か別のものを君にプレゼントしたい。」 「....え.......」 そう言ってルシウスは手をあげて、じゃあ、とまだ呆然としているに別れを告げ、返事も聞かずに去っていってしまった。 (....................................。) 「え、ええっ??!!」 またしても、はその場に一人、置き去りだった。 お気に召しましたら(*^-^*)→ web拍手 back / home / next |