一度 「好き」 を意識したら、その気持ちは留まることなく
どんどん 「好き」 になっていく

それが恋というもの











Sweet Memories



- Memory 2 -









「おはよーーー!!!!」

キラキラ、とした笑顔を浮かべながら、が食堂に入ってきたので、食堂にいた男子生徒たちは頬を染めて彼女を見ていた。
出迎えたジェームズ達は、対して意味深な笑顔を浮かべている。

「ね、この通り。一日で復活よ。」
「ご心配かけました。ありがとうね、みんな。特にリリー!」
はしゃぎながらは親友のリリーの頬にキスすると、グリフィンドールの席についた。
「まったく、にぎやかな奴だな。」
あきれたようにシリウスは肩をすくめてみせる。
「本当は私が元気なくて寂しかったんだよね?」
「ば、馬鹿!そんなこと絶対ある訳ないっ!!!」
珍しく顔を赤くしてうろたえるシリウスを見て、周りにいたリリーやジェームズ、リーマスがプッと噴出す。
「分かってる、分かってる。」
うんうん、と頷いては朝の一杯、オレンジジュースを飲んで微笑んだ。
って最高。」
リーマスはそう言うと、同じようにオレンジジュースを飲み、口を尖らせているシリウスを見た。

「ところで、。"あの"マルフォイ先輩のどこがいいの?」

ギチョ。

ジェームズのさらっとした言葉に、のベーコンを切るナイフの動きが止まった。
ギギギギ、とまるで音が鳴っているようにぎこちなく彼のほうを見て、はにっこり笑った。
「なんで、知ってるの?」
「一目瞭然。君と僕らの付き合いは長いんだよ〜?協力してあげるからさ。」
協力というより、むしろ面白いもの見たさ。
「それにしても、なんであの人なんだい?前から一番怖がってたじゃないか。」
「うっ、それは...その......」
はリーマスの質問に、ヘルプの眼差しをリリーに向けるが、
「私も聞きたい。いいじゃない。いずれ分かることだし。」
と、返ってきた。仕方なく、は照れながら昨日のハンカチ事件を話すことに....。









「おはよう、ルシウス。」
カタン、と小さく音を立てて向かいの席に座った女生徒を見て、ルシウスも軽く笑う。
「やあ、ナルシッサ。」
「今日はいつもより早いのね。」
「そうかな?」
素っ気無いルシウスの返事に、フッと微笑むと、ナルシッサは彼の肩越しからやってくる視線に気づいて手を振った。
それに気づいたルシウスは、不思議そうな顔をして彼女を見る。
「ああ、あなたの後ろのテーブル。グリフィンドール。」
グリフィンドール、という言葉自体もう嫌い、と言って等しいルシウスは、眉をひそめるが、後ろを振り返らなかった。
「ルシウス、あなた人気があるのね。あのポッターたちがあなたのことずっと見てるわ。」
面白そうにナルシッサはクス、と笑うが、ルシウスの顔は一向に不機嫌と言った様子で。
「相手にするな。まぬけがうつる。」
と、冷たい目を一度伏せ、朝食を口に含んだ。










「どうしよっかな、このハンカチ。」

空き時間、リリーと二人で芝生に横になり、青い空に流れる白い雲を眺めながら、
はルシウスからもらったハンカチを持ち、う〜ん、と先ほどから唸っていた。
真っ白なハンカチは空にかざすと、そのコントラストが最高だった。

「それにしても意外ね。がマルフォイに、ねぇ?」
「何?どうして?」
顔だけリリーのほうに向けると、は尋ねた。
「だって、は....なんか照れくさいんだけど、明るくて、朗らかで優しくて、元気いっぱいな感じなのにさ。
 冷たくて、意地悪で、性格歪んでそうなあのマルフォイ先輩に...あっ、ごめんね。でもなんか、全然似合わないような気がするのよ。
 今まで好きになった子たちとは全然別じゃない?もう、なんか住む世界が違うような...」
「...そうかな?」
そう言った途端、はハッとしてリリーを見た。
「ごめん、リリー!!私今までついつい忘れてたけど...」
「やだ、いいのよ。それとこれとは関係ないわ。」
気まずそうなに優しく微笑むと、リリーはまた空を見上げた。
今更思い出した。リリーもマグルだと言うことに。彼女がルシウスに罵られているマグルを見て、いつも嫌な顔をしていたことに。

「でも、はっきり言って、あの人はやめたほうがいいと私は思うよ、。」
「.........う、うん....。」

それ以上、言うことが出来なくて、はそっと瞼を閉じた。










その夜。
談話室のソファではリーマスと二人で座りながら、課題をこなすため、参考文献を読み漁っていた。
「どう思う、リーマス?やっぱりあきらめたほうがいいのかな、私。」
「ん?」
走らせていた羽根ペンを止めたリーマスは、をチラッと見ると、また本のページをめくり始めた。
「うーん、僕に聞かれても困るよ。最後に決めるのは君だろ?
 リリーは君の事心配して言っているみたいだけど、僕は君の好きにしたらいいと思う。」
それに、と彼はにこっと微笑むと、続けた。
「リリーの事なら心配しなくていいと思うよ?彼女にはジェームズがいるからね。
 それとも、そんな簡単にあきらめられるの?」
リーマスの問いに、はふるふると首を横に振る。
「じゃあ、決まりだ。」
「ありがとう、リーマス。」
はふわっと微笑むと、彼も微笑み返す。

「そうだ!ね、スリザリンの合言葉知ってる?」
「スリザリン?知るわけないじゃないか。」
少し驚いて目を見開きながら、立ち上がったを見上げるリーマス。
「やっぱりハンカチ返して、お礼をちゃんと言おうと思って。あの時一言も喋れなかったから。」
思いつきで行動するのが、の長所でもあり、短所でもある。
リーマスは笑いながらキョロキョロ、周りを見回して、ある人物を指差した。
「あそこにいるウィーズリー先輩に聞いてみれば?合言葉は知らなくても、マルフォイ先輩とは犬猿の仲だって有名だし。」
彼の指差す方には、先輩のアーサーとモリーが楽しそうに二人でチェスをしている。
「犬猿の仲の人に何を聞くのよ?」
困ったように両手を広げて見せる
「同学年だよ、マルフォイ先輩と。時間割とかある程度分かるだろう?
 まぁ、食堂で声かけてもいいと思うんだけど....」
「それは嫌!大勢生徒がいる食堂で声かけるなんて!!」

「うん。じゃあ、決まりだ。」
そう言うと、リーマスはの手をひいて、アーサーたちの前に歩いていくのだった。










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