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「、開けてくれないか?」 「………」 何度か言ってみたものの、一向に開く気配がないドアに、ルーピンは小さくため息をついた。 「開けてくれないと、このドアを吹き飛ばすよ?」 「………」 ガチャリ 静かに開いたドアから部屋へ入ると、ルーピンは目の前にいる彼女を抱き締めた。 「いや…、」 は抵抗していたが、それを無視して、彼はその腕にいっそう力を込めた。 久しぶりに感じた彼女の温かさも香りも、全てが愛しくてたまらない。 「ずっと、こうしたかったんだ。私も、君に会えなくて寂しかった」 その言葉を聞いて、の抵抗がぴたり、と止まった。 顔を彼女の髪にうずめて、ルーピンは静かな声で続けた。 「私は自分のことで余裕がなくて、君は会う度に何も言わずに微笑んでくれていたから、 確かに、私は君が一人でも我慢してやっていけるって、ほっとしていたし、心のどこかで甘えてた。」 「すまない。…君の事、ちゃんと考えることができていなかったんだ。君の気持ちも聞かずにいた。 私は君の夫失格だね。騎士団の任務を何より優先させていた。」 「…そんなことないです、私が、ただ我侭なだけで…」 そう言って胸の中で震えるの背を、彼は優しく撫でた。 「私は、君のことを重荷と感じたことは、誓って一度もないよ。 今の私があるのは、―、君のおかげなんだから。 君がいるから、私は生きていけるんだ。」 「リーマス…」 は顔をあげると、涙に濡れた瞳で彼を見つめた。 彼女の両頬をその手で包み込むと、ルーピンはにっこりと微笑んだ。 「…ご、ごめんなさい……」 「どうして君が謝るんだ?もともと約束を破ったのは私なのに」 「だって、私たくさんあなたに…」 「いいんだ。もっと素直に言って甘えてくれて。たまに怒ってもいいし。」 なんでこの人は、こんなに優しくて、強いんだろう。 は、本当に目の前の彼が大好きで、彼の言葉ひとつひとつが嬉しくてしょうがなかった。 自分が生きていけるのも、彼がいてくれるからだ、と思った。 「君が受け入れる覚悟があるなら、任務のことも話すよ。連絡手段も考えよう。 この戦いは、いつまでかかるか分からないんだ。 勝手な頼みだって分かってる。でも、君には私のことを信じて、待っていて欲しいんだ。 こんなことも終わるときが、必ずやってくるから。」 真っ直ぐな彼の瞳に見つめられて、は、力強く頷いた。 そうだ。もっともっと、強くならなくちゃ。 彼のように。 彼と、自分のために。 「ありがとう」 ルーピンは、嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。 「それに、。何かひとつ私に言い忘れてない?」 「え?…あっ」 一瞬間の抜けた声を出しただったが、思い出したようにルーピンの手を握って言った。 「リーマス!私、赤ちゃんができたの!!!」 「うん、うん」 先程の表情とは打って変わって、ぱっとが瞳を輝かせると、 彼もとても幸せそうに微笑んだ。 「知ってたの?」 「さっき、モリーが"女の勘"で教えてくれたよ。」 「ほんとうに?」 「ああ」 頷いて、もう一度彼女を力いっぱい抱き締めると、ルーピンは疲れも忘れて、 ただただ胸の奥から湧き上がる、幸せな気持ちをかみ締めながら言った。 「ありがとう、!本当にありがとう。最高のプレゼントだよ。」 「リーマスったら、まだ産まれてもいないのよ?」 こんなに彼が喜んでくれるなんて。 嬉しくて、ルーピンの腕の中で、の顔も自然と笑顔になる。 きっと、彼は親バカになるに違いないと思った。 「ごめん、あいにく君へのプレゼントを用意する時間がなくて。 でもしばらく任務を休もうと思うんだ。だから、その間に…」 は、大好きな腕の中で、その心地よさに目を閉じて言った。 「ううん、何もいりません。 あなたがいてくれれば、それだけで十分なんですから。」 クリスマスに、奇跡が起きてくれないと嘆いていた。 でも、それは間違いだと分かった。 奇跡が起きなくてもいい。 遠く離れていても、大切な人たちがどこかで、同じ時間を生きているということ。 大好きな人が側にいてくれて、今年もこうやって、この一日を一緒に祝えるということ。 特別な出来事なんかじゃなくて、 当たり前のことが、当たり前のように毎年繰り返されるということ。 それこそが、とても幸せなことなんじゃないかと、私は思うから。 だから、これからも、感謝の気持ちを持ち続けていたい。 こうして、愛する人たちと一緒の日々が、過ごせることを。 メリークリスマス。 (2007.12.23) 短編のつもりが4ページ!渾身のクリスマス話です(笑。クリスマスあんまり関係ないか…。 そして最後は甘くしてみました。くさいし…。でも幸せな2人が書けて、とても楽しかったです。 私もいつもと同じ、普通のクリスマスでしょうけど、それが平和な印なんですよね。 みなさんにも、素敵なクリスマスを。 お気に召しましたらお願いします(*^-^*)→ web拍手back / home |